ターンオーバー
「ターンオーバー」とは、入れ替わるというような意味ですが、美容の分野ではとくに、表皮の生まれ変わりのことを指しています。
表皮細胞が基底層のところで新しく生まれて、約28日かけて角化し、角質細胞になり、最後は垢としてはがれていく、このサイクルをターンオーバーと呼ぶのです。
ターンオーバーによって、表皮細胞は絶えず入れ替わっていることになり、そのため、表皮にできた傷は、跡が残らずに治ります。
枝毛ができても、髪が生え変われが元に戻るのと同じです。
しかし、表皮を超えて真皮まで傷がついてしまうと真皮はターンオーバーしていませんから、跡が残る事があるわけです。
紫外線でメラニン色素ができても、表皮の中にとどまっていれば、28日後にはターンオーバーとともに排出されて色は元に戻りますが、真皮まで色素が及んでしまうと、すっと残ります。
これがシミになるのです。
このように大切なターンオーバーですが、年齢と共に速度が落ちて、40代になると約40日ほどかかるといわれます。このため傷の治りも遅くなり、シミできやすくなるわけです。また、角質層は厚くなり、角質層以下の表皮はうすくなります。
肌がくすむ、硬くなる、乾燥がなかなか治らない、小じわができるといった状態が見られるのは、ターンオーバーの速度がおいている証拠です。
お肌の3つの役割
顔の皮膚の役割について整理すると、次の3つの役割が肌にはあります。
①表情
顔はその日の気分、体調、感情などの全てが表現される場所です。
顔はその人そのものを表現します。実年齢である今の顔は皮膚が作っています。
②バリア機能
皮膚は紫外線、雑菌、乾燥、暑さ、寒さ、薬物など外部刺激から身体内部を守る働きがあります。これを皮膚の保護作用と言います。皮膚は外部物質を身体の内部に入れないようにすると同時に、身体外部に排出する働きがあります。
従って化粧品を肌につけても肌の奥まで化粧品が入ることはありません。肌の中に化粧品の成分や、水分が入ってしまうと大変なことになります。
皮膚の役割
- 保護作用
- 分泌・排泄作用
- 呼吸作用
- 体温調節作用
- 感覚作用
- 吸収作用
③情報伝達
皮膚は第三の脳と言われるように皮膚を通じて外部情報を脳に伝達しています
(光、色、温度、痛覚、触覚、圧力など)
皮膚の情報伝達が行われるには、神経が関わっています。熱い、痛い、痒い、顔が赤くなるなどの症状はバリア機能を低下させます。
バリア機能
私たちが素手で洗剤に触っても、洗剤にしみこんでくることはありません。
これは角質層に「バリア機能」というものが働いているからです。海に入っても塩漬けにならないのも、バリア機能のおかげです。
肌の一番表面にある、死んだ細胞(角質細胞)の層が「角質層」です。
顔で言うと、約20層の細胞が煉瓦のように積み重なってできていて、厚さは0.02mmほどになります。
皮膚に触れるすべてのものからからだを守り、また内部の水分が外へ蒸発しないように守る働きをしているのです。
これを「角質のバリア機能」といいます。健康な角質層は、自分自身で保湿成分(おもにセラミド)を作り出しているため約30%ほどの水分を含んでいます。この水分が低下することが乾燥肌です。
乾燥肌になるとバリア機能も損なわれます。バリア機能が失われると、外からの刺激が入り込みやすくなり、小さな刺激にも反応してしまいます。
これが敏感肌です。そのため、化粧水がしみたり、髪がふれただけでかゆくなったりという症状が起きてきます。
基底層
表皮の一番深い部分、すなわち真皮との境目にあたる部分を「基底層」といいます。
ここは、新しい表皮細胞を生み出す、工場のようなところです。ターンオーバーのサイクルの、スタート地点でもあります。
基底層では、血液から栄養分と酸素を受け取って、新しい細胞が作り出されます。
そのため、ダイエットなどで栄養(とくにタンパク質)が不足した場合、ターンオーバーに支障をきたします。
基底層は強い膜のようなものでできていて、「真皮を守る」という役目ももっています。
それは、基底層から上の表皮の部分はターンオーバーしているので、傷がついても元に戻りますが、真皮にまでおよんだ傷は完全には戻らないため、真皮を強力にガードする必要があるからです。皮膚へのダメージが、完全修復されるかどうかの、運命の別れ道が「基底層」ということになります。
基底層には「メラノサイト」もあり、ここでメラニン色素がつくられます。これは、真皮に紫外線が届かないように、ここで黒いカーテンを引いて、ブロックしているようなものなのです。
このように大切な基底層ですが、年齢とともに弱くなり、メラニン色素が基底層より下の真皮に落下するということも起こってきます。落下した分は、当然シミになって残ります。これが、同じ紫外線に当てっていても、若いころよりもだんだんシミができやすくなる一因です。
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織で構成されています。
そのなかでも、スキンケアをするうえで特に知っておきたいのが、表皮と真皮の構造です。
表皮
皮膚の一番表面の部分が、表皮です。
「角質」といいう言葉をよく耳にしますが、角質も表皮の一部です。
表皮の一番上にあう、死んだ細胞(角質細胞)の層を角質層と呼び、その下の生きた細胞(表面細胞)のと区別しているのです。
表皮の組織
角質層
肌の一番表面にある、表皮細胞の死んだもの(角質細胞)でできているのが角質層です。
約30%の水分を含んでいます。
皮膚に触れるすべてのものから体を守り、また、内部の水分が外へ蒸発しないように守る、バリアとしての働きをしています。(角質のバリア機能)角質細胞は、やがて垢となって脱落していきます。(ターンオーバー)
角質層以下の表皮
角質層と違って、生き細胞(表皮細胞)でできています。
約65%の水分を含んでいます。
外からの刺激に反応して、その情報を神経などに伝えたり、ときにはアレルギー反応を起こすなど、さまざまな活動をしています。
つまり生きたひとつの臓器です。
表皮は、顔では0.1mmほどの厚さを持ち、約28日間かけてターンオーバー(生まれ変わり)をしています。
ただしターンオーバーは加齢で遅くなり、この層も薄くなります。
基底層
基底層は、表皮の一番下にあり、新しい表皮細胞が生まれる工場の働きをしています。
また、基底層にはメラノサイトがあり、紫外線に反応してメラニン色素を作り出しています。
☆メラノサイト・・・メラニンを作り出す色素細胞です。
※「スキンケア基本事典」より抜粋
真皮
表皮の下の部分にあたり、約70%はコラーゲンと呼ばれる線維でできています。
これ-現は真皮の中に網目状のネットワークをつくり、真皮の弾力を維持しています。
コラーゲンのところどころにエラスチンと呼ばれる別の線維があり、コラーゲンの構造をさせるようにはたらいています。これらの線維が古くなって弾力を失うことが、シワの最大の原因です。
以上の2種類の線維のまわりを埋め尽くすように、ヒアルロン酸と呼ばれるゼリー状の物質が存在し真皮の水分を守っています。
コラーゲン
真皮の主成分。ゴムのように弾力をもった線維。
線維芽細胞から作り出され、ふるくなったものは酵素などで分解されていきます。
コラーゲンの変性や減少が、シワのおもな原因です。
化粧品にも配合されますが、これは保湿成分であって真皮に浸透してシワを治すものではありません。
エラスチン
コラーゲンの線維を、ところどころでつなぎとめるようにして支えているのが、エラスチン線維(弾性繊維)です。
真皮の約5%前後占めますが、年齢とともに減ってしまい、これもシワの発生に関係します。
線維牙細胞
真皮の成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を産み出し、真皮の構造をつくりあげる働きをする細胞です。
ヒアルロン酸
ムコ多糖類呼ばれるゼリー状物質で、肌では真皮に存在します。
真皮にはりめぐらされたコラーゲンとエラスチンの、網目構造の間を埋め尽くして、肌弾力支えています。
ヒアルロン酸は、水分を含む力が非常に強く、このヒアルロン酸がたくさんあるほど、真皮はみずみずしいといく事になります。年齢とともにヒアルロン酸は減っていくため、真皮の水分も減少します。
つまり、ヒアルロン酸がもっとも多くあるのは、赤ちゃんの肌です。
腕や足の関節の中にもヒアルロン酸は存在します。ゼリーのようなヒアルロン酸が潤滑油のように働いて、関節のスムーズな動きを助けています。また、目の中でもヒアルロン酸が、水分を維持しています。このように、人体のあちこちで水分維持に働くヒアルロン酸ですが、残念ながら、年齢とともに減っていき、食品などから補う事はできません。
皮脂腺
皮脂を分泌する細胞の集まりが皮脂腺です。
皮脂腺で作られた皮脂は、毛穴の中に分泌され、毛をたどって、肌の表面に排出されます。
皮脂の主成分は、脂肪線形物質が40%、ロウ類が25%、スクアレンが10%程度です。
汗腺
汗を分泌する細胞の集まりが汗腺です。
汗腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類があります。